諸外国の路面電車


  3.ドイツ編

     フランクフルト    2015年3月訪問

            ドイツで一番最初に訪問した都市です。ホテルに到着後、2km離れたOberforsthaus停留所
            に向かい、
自動券売機があったので、1回券を購入しましたが、刻印機が停留所にも車内
          にも見当たらず、発車時間まで5分あったので、不安ながら休憩している乗務員さんに
          購入したチケットを見せ、これでいいか聞いてみたところ、問題ないとのことで、私ひ
          とりだけ乗せて発車しました。右の写真は、乗車したトラムです。下には停留所及び、
          車内の写真ですが、刻印機なるものがありません…。

          降車する場合(右下写真)、ドア中央にあるボタンを押して降車します。よって、乗
          車券の回収はありません。


             しかし、旅行ガイドには、必ず刻印機を打つこととあります。車内に突然検札係が入り
           「”Fahrschein, bitte.”(切符をお願いします。)と言われたらアウト。
            次の駅で降りるように頼まれ、身分証明書をチェックされ、40ユーロ(約5,600円)の罰金
           の請求書が後日届きます。」とあります。2015年3月に乗車してみて不思議に思いました。
            最近、乗車した方、方法が分かる方、ご意見に投稿してください。


       


             運行開始 1872年  営業キロ数 63.4km 軌間 1435mm  
             運行開始 1968年  営業キロ数 58.7km 軌間 1435mm  10のトラム路線  車両在籍数 106両

               
1872年にトラム運行が運行開始、1884年には電気路面電車が続々登場。1961年から新交通システム
              として、地下鉄と電車の組合せ計画が始まり、1968年に地下部に路面電車が運行され、1978年にはラ
              イトレールが開設されました。この都市では、オーデルとマイン地区の2つの異なった路線があり、マイ
              ン地区では車両数372両あり、1904年に馬車鉄道から路面電車へ切り替えられ、大半が連接車、地下
              鉄乗り入れや低床車の導入もされ、専用軌道化、LRT化が進んでおり、現在は、3路線7系統で、都心
              部を地下27駅、地上58駅となっています。フランクフルトおよび周辺地域の公共近距離交通は、Sバ
              ーン中距離輸送(JRや私鉄等)、一部が Uバーン(地下鉄)化された市電、路面電車、市バスなどが運
              行されています。Sバーン(中距離輸送、右写真U5)のほとんどが、シティー・トンネルの地下を通って
              中央駅へ、そこで各方面へ乗り換えることができます。


       Kカーズ りんご酒電車(観光用)     Rカーズ(市内トラム)           Sモデル
             


車 両 規 格

 車両種類  製造年  乗車人員  全 長  幅  高さ
 トラム     
 Sモデル  2003  115(64)人  30.04m 2.4m  3.49m
 Rカーズ  1993   111(59)人  27.6m 2.35m  3.37m
 Der0  1969  170(62)人  26.1m 2.35m  3.37m
 Oシリーズ  1993  111(59)人  27.6m 2.32m  3.19m
 Nカーズ  1963  172(65)人  26.2m 2.32m  3.185m
 Mカーズ  1959  127(45)人  19.1m 2.32m  3.185m
 L型トレーラー  1956  79(33)人  14.03 2.2m  3.185m
 Kカー(単車)  1949  57(22)人  11.44m 2.16m  3.11m
 Uバーン     
 U5  2007  136(48)人  25m  2.65m 3.6m 
 U4  1994  111(63)人  25.84m  2.65m  3.636m 
 U3  1979  182(64)人  25.68m  2.65m  3.28m 
 U2  1968  162(64)人  24.29m  2.65m  3.28m  
 PTB  1973  180(62)人  28.72m 2.58m  3.26m  


 PTB                                             写真右 U5
    

 Oシリーズ
 



  ブレーメン       運行開始 1876年6月  営業キロ数 115km(路線 8路線) 軌間 1435mm 車両 77(GT8N-1 43)

                 この都市では、1972年に市電が廃止され、代わりにバスが市街中心部に乗り入れるようになりました。
                しかし、3分間隔で大型バスが走るのですが、バス専用レーンがないため、渋滞に巻き込まれ、ひどいとき
                には、3台以上のバスが連ねて走るということで、当然、環境面にも影響を及ぼし、1998年にバスから市電
                が26年ぶりに復活しました。それから公共交通のメインはトラムとバスとなりました。トラム内には車掌がい
                ないため、無賃乗車可能ですが、時々、私服の職員が乗車し切符の提示を求められ、無賃乗車がわかると
                切符代よりも遥かに高い罰金を払うことになります。また、改札機の切符挿入口が小さく、どう頑張っても切
                符が入らないので、切符を改札機に通す時は、切符を半分に折って挿入します。
                 トラムは市内中心部から東南に延びて、アルステンまで結びました。運行状態は、ブレーメン鉄道株式会社
                (BSAG)がトラムの8路線と、一部は貨物線と併用しています。また、車両にペットと乗車できます。

                 車両は現在、1970年代にデビューした古いタイプのGT4-3500は、徐々にGT8NやGT8N-1に変更され
                ています。ドイツで低床車導入の先駆けとなったブレーメンの低床車2世代目となるGT8N(下写真左)、また
                GT8N-1(下写真右) 

                        


                車 両  名 称   製 造 年    全 長  幅    高 さ   乗車人員
                      GT8N    1993-1996年  35.8m  2.3m   3.3m   214人(82席)
                      GT8N-1  2005-2012年  35.8m  2.65m  3.65m   239人(105席)

                 デビュー当時のGT8Nは正面部分が白でしたが、現在は先頭車の先頭部分が
                 青、赤、黄、緑などに塗装されています。また、GT8N-1の違いは、車両下
                 一定ラインにグレー色の塗装があります。



   デュッセルドルフ    運行開始 1876年  営業キロ数 146.5km(路線 6ルート) 軌間 1435mm

               車両の愛称が「鉄の矢」と呼ばれ、いかにも迫力のある感じを受ける感じがします。この
               路線も昔から都市交通について考えており、地下部も含め146km(20系統)あります。
                また、この都市の路面電車には、食堂車が連結されている系統があります。車両の正面
                 にマークがついていて、軽食を注文することができます。
                 車両については、年式の差はそうないのですが、エアコンの搭載などで重量差があり
                 左右のタイプのようなデザインになっています。
          車 両   タイプ   パターン     全 長    幅   高さ(標準)  最低床面積  乗車人員
                 NF8U    5車体4台車   30.04m   2.4m  3.51m      30cm     174(54席)人
                 NF10    7車体5台車   39.998m   2.4m  3.51m      30cm

                  NF8U                       NF10
                     

                
                 降車する人がいないと開かないので、ボタンを押して開けています。(下左写真)
                 


                また、旧車両は存続しており、貸切、イベントなどで拝見できるそうです。(右写真)




  フライブルク      運行開始 1901年  営業キロ数 38.7km 軌間 1000mm  LRT55編成 LRV26編成

                この都市では、1970年代に都市近辺に原子力発電所建設計画ができ、市民は反対をしましたが、
               ただ反対をするだけではなく、原発や化石燃料に頼らないエネルギー供給を実現させようと考えました。
                その後、1973年頃に自動車を街へ乗り入れることに制限、路面電車の整備をおこないました。当時
               営業キロ数は14kmでしたが、徐々に路線延長のほか、自動車規制をしているため、停留場付近には、
               パークアンドライド用の駐車場を設けて、公共交通へのアクセスを容易にしています。街では、路面電車
               優先で、駐車料金も高くなっている上、時間制限などもあり徹底しています。

                

                 市内4路線、放射状に8方向で、営業キロ数は38.7kmまでになりました。
                 1.赤線 22(6)停留所
                 2.緑線 20(5)停留所
                 3.青線 19(17)停留所
                 4.黄線 20(18)停留所

     
              

車 両 全 長 乗車人員 製造年 最高速度
18combino(上中央写真) 41.96m 163(78)人 2000年 70km/h
26GT8Z(下左写真) 33.1m 121(84)人 1994年 70km/h
GT8D-MN-Z(上左写真) 33.55m 幅2.3m 高さ 3.215m 121(84)人 1993年 70km/h
11GT8N(下真ん中写真) 32.85m 115(84)人 1990年 70km/h
6GT8K(下右写真) 32.85m 113(91)人 1981年 70km/h
1ヴィンテージGT4(上右写真) 17.43m 121(39)人 1959年 50km/h

   



 ヴュルツブルク   運行開始 1892年  営業キロ数 19.7km 路線数 5路線 軌間 1000mm 40車両は低床車で、自転車も持込可能

               この都市では、1892年に馬車鉄道が開通しましたが、1899年にウォール街の発電所の建設や
              鉄道の電化の問題が浮上しました。現在、19.8km(5系統)で営業していますが、昔は車
              に押され、廃止を余儀なくされています。1970年代に入り、併用軌道問題や環境問題などを
              考え、重要な交通機関は専用軌道、車両のノンステップ化、車いすは勿論、乳母車、自転車
              も乗車可能としています。また、車内アナウンスが「次は・・・です」と小さい男子の声で、発声
              しており、日本にはないものと思われます。さらに世界一の急勾配といわれる9%勾配を上
              る路面電車のあるところで、珍しいところでもあるでしょう。
              (雪の街、札幌では、考えられないでしょうね)

              ライン1 Sanderau -中央駅- Grombuhl/大学病院線2駅- Zellerau
              ライン3 Heuchelhof - Heidingsfeld -駅4号線Sanderau - (中央駅) - Zellerau
              ライン5 Rottenbauer - Heuchelhof - Heidingsfeld -中央駅- Grombuhl/大学病院

                    


 カールスルーエ     運行開始 1877年  営業キロ数 65.5km 路線数 5路線 軌間 1435mm
                ここのトラムは、カールスルーエ交通事業(VBK)、アルブタール交通(AVG)、およびドイツ鉄道(DB)の
               3者が保有しています。また、トラム・トレイン方式で、路面電車がJRの路線を走行すようなもので、中
               距離輸送と路面電車を一緒にして利用者に利便性をはかり、集客率を上げています。また、電圧差の問題
               を解決するため、世界初の交直複電圧2システムを導入して運行されました。
                1958〜1971年にかけて市の南側へ延びる軌間1000mmのアルブタール鉄道(カールスルーエ〜エト
               リンゲン〜バートヘレンアルプ、イータスバッハ)を軌間1435mm、直流750V電化に順次変更、1979
               年には、市の北部ホホシュテッテンへ路線延長、ドイツ連邦鉄道(DB 現在のドイツ鉄道)の貨物線のハ
               ルト線を借用し軌道を共有しました。
                1984年に連邦鉄道の旅客線へ乗入れの研究を開始し、運行規則や路線規格の大幅な違いを乗り越え、
               1992年に実現しました。これがトラムトレインの第1号です。さらに市街東部に全長2.8kmの連絡線を
               敷設、連邦鉄道クライヒガウ線のブレッテンまでの約21kmを交流15000V 16.7Hz電化、駅の増設
               等を実施、車両はデュワグ社のシュタットバーン用車両を鉄道線対応・交直両用化したGT8-100C/2S
               (全長37m、全幅2.65mの8軸3車体式)を導入、最高速度は100km/h。これにより、1年後には乗客が
               向上しました。その後、中央駅付近と市街北西に連絡線を増設し乗り入れ区間を大幅に拡大。更に、ドイ
               ツ鉄道線内のみを運転する列車をトラムトレイン用の車両に置きかえました。その走行区間の総延長
               は400km。 このうち南東方面のライン線ラシュタット、バーデン=バーデン方面はドイツとスイスを結ぶ
               幹線路線であり、ちょっと、びっくりですが、超高速列車のICEが在来線とはいえ200km/hで走行する区
               間にトラムトレインが乗り入れています。さらにトラムトレインの終点となったヴェルト、バートヴィル
               トバートでは短距離の市内線を建設して、路線を更に延長しました。
               同様、1999年にトラムトレインの終点となったハイルブロンでも、同様に短距離の市内線を2001年に建
               設しましたが、2005年に更に路線を延長して、もう一度鉄道線に乗り入れ約25km東のエーリンゲンが、
               終点となりました。ハイルブロンはカールスルーエから東に約70km離れており、2つの都市のトラムトレ
               インが連結した形になります。
                路線拡大にあたり、車両も新造されてGT8-100D/M-2Sが製造、台車以外の部分の床高さを580mm
               に下げ、一部車輛は中間車体にビュッフェが設置されましたが、現在は使用されていません。しかし、
               同時に取付たトイレは後の増備車に生かされています。


                   写真右
                   GT6-70D/N 3車体(6軸)連節車 車体 全長28.7m 幅2.65m  2002〜03年  30両
                   GT8-70D/N 5車体(8軸)連節車 車体 全長38.7m 幅2.65m  1999、2003年 25両
                   写真左
                   GT6-80C   2車体(6軸)連節車 車体 全長27.6m  幅2.65m  1983〜1984年 20両
                   GT8-80C   3車体(8軸)連節車 車体 全長37.37m 幅2.65m  1991年 40両
   
                    

                   右端写真
                   FLEXITYスウィフト 3車体(8軸)連節車 車体 全長37.03m 幅2.65m  2009年 30両